僕の中の君。

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光が消えると共に見える外の景色が見えた。 「んーん、やっぱり外がいいね」 隣の君はベンチに座っていた。 「ここは?」 不思議だった。 初めて来る場所なのに懐かしかった。 「君の中から出てきた懐かしい場所なんだ」 ベンチから立ち上がった彼は1人歩き出す。 それについていくといろいろな景色が通りすぎる。 だが、何かが足りない。 「君はいったい何なんだ?」 目の前の彼にきくが彼は振り向かずに言った。 「君の中」 全く分からなかった。 そのまま続けた。 「君の中の罪悪感」 「僕の罪悪感?」 「今まで生きてきた証拠。君の痕跡」 「じゃあ、しょうがないと言うの?」 僕は思った。 永遠にこの罪悪感無くしたくなかった。 「そう消えればいいと君は思っている。君は」 「違う……違う!!」 いつの間にか彼と逆の方向に走っていた。 違う。 君は僕の中じゃない。 彼は追いかけてくる。 ゆっくり歩いているようにしか見えないが。 走っている。 ただそれなのに気がついた。 この町に足りないもの。 それは『人』だった。 誰もいなかった。 周りに。
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