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「逃げるのか?お前は」
彼は叫んだ。
走り続けた。
振り返ると彼は何かを持っていた。
何かは良く見えなかった。
「助けて!!やめて、よってこないで!!うっ、やめて……やめてよ」
叫び声が聞こえる。
すぐに叫び声がうめき声になるのが聞こえる。
ただ走った。
無駄だと分かっていた。
君は僕なんだ。
逃げていたのは僕だった。
君は僕の中の罪悪感。
やっと分かった。
最期だと言うこと。
そんなことを考えていたら足が止まっていた。
僕は何をみた?
希望?絶望?
喜び?悲しみ?
僕は何なんだ?
何のために生きた?
僕は……
「悲しくなんかないよ。
すぐに明日は来る。
君たち人間の。
今までを一回終わらせるんだ。
そして、明日を作る。
これで、君は37人目。
人間の死も37回目。
明日が来るのもだ。
さよなら。
また明日が来ますように」
ありがとう。
明日を待つよ。
僕は生きていた。
僕は生きて良かった。
また明日が来るのを待つのも悪くない。
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