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「うぅ……うわぁーん!」
幼い女児が泣き出した。それを取り囲むように数人の男児。
「やーい、泣き虫千鶴ー!」
泣きじゃくる千鶴に、男児たちは罵声を浴びせる。
『……コラァ! アンタら何してんのよ!』
「う……うぅ……のんちゃん」
のんちゃんと呼ばれる女児の名前は、斎藤迦音(さいとうかのん)
迦音の放つ威圧感に男児たちは後ずさり、散り散りに逃げていった。
『待てェ!』
それを逃がすまいと、走って追い掛ける。
数分後──。
「のんちゃん、大丈夫!?」
『平気。ちーたんはケガしてない?』
「アタシは大丈夫だけど……」
千鶴の視線の先に、所々傷や泥の汚れなどが目立つ迦音の姿が。
『ちーたんがケガしてなきゃそれでいいや……ちーたんは私が守るからね』
ニコッと笑うと、それにつられて千鶴も涙を拭い、笑ってみせた。
2人で仲良く歩いて帰る。
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