3人が本棚に入れています
本棚に追加
帰り道、千鶴と別れた迦音は1人で家に帰る。
すると突然何者かが目の前に現れた。
そう……突然に。
何やら霧がかっているように見えるそれは、心なしか人のような形をしていた。
何が起きたのか理解出来ず、迦音は口をポカーンと開けたままそれを見つめる。
(……)
霧がかった人間が何かを言った気がしたが、うまく聞き取れない。
『なーに?』
(……)
言葉を聞くために、迦音は恐る恐る距離を詰めていく。
少しの恐怖と驚きはあったが、何故か無意識のうちに足が動いていた。
(……ごめんね……)
霧がかった人間は、なぜか迦音に謝ってきた。そして手を伸ばし、迦音の頭の上に乗せる。
(これから何年か先、アナタの前に言葉を喋る猫が訪ねてきます。その猫、大事にしてあげてください)
迦音の頭を撫でながら、霧がかった人間が言った。迦音は優しい温もりを感じた。
瞬きをしたら、霧がかった人間は消えていた。
『……?』
何が起きたか理解出来なかったが、たいして気にも止めずに家に帰ることに。
_
最初のコメントを投稿しよう!