10年前

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帰り道、千鶴と別れた迦音は1人で家に帰る。 すると突然何者かが目の前に現れた。 そう……突然に。 何やら霧がかっているように見えるそれは、心なしか人のような形をしていた。 何が起きたのか理解出来ず、迦音は口をポカーンと開けたままそれを見つめる。 (……) 霧がかった人間が何かを言った気がしたが、うまく聞き取れない。 『なーに?』 (……) 言葉を聞くために、迦音は恐る恐る距離を詰めていく。 少しの恐怖と驚きはあったが、何故か無意識のうちに足が動いていた。 (……ごめんね……) 霧がかった人間は、なぜか迦音に謝ってきた。そして手を伸ばし、迦音の頭の上に乗せる。 (これから何年か先、アナタの前に言葉を喋る猫が訪ねてきます。その猫、大事にしてあげてください) 迦音の頭を撫でながら、霧がかった人間が言った。迦音は優しい温もりを感じた。 瞬きをしたら、霧がかった人間は消えていた。 『……?』 何が起きたか理解出来なかったが、たいして気にも止めずに家に帰ることに。 _
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