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1 青くなりたいから青いんだよ!!(薫)
……潮の香りがする。
大きく息を吸い込んでそっと空を見上げると、そこには燦々と輝く太陽が見えた。
眩しい日の光に目を細めたまま、船から落っこちそうな程に身を乗り出して、海を見ている《彼》を見つめる。
海から吹く風で彼の黒いふわふわの猫っ毛の髪が靡き、人形の様に整った少し幼さの残るその顔に、微かな笑みが浮かぶ。
まるで映画のワンシーンの様な光景に少し見惚れ、それと同時に突然不安に襲われる。
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