宮野ちあき

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―― リビングには父がいた。 放任主義の母とは違い父は心配性だ。一人娘だからだろうか? 「オハヨウ」 前髪の寝癖をぴょこぴょこさせながらちあきはリビングを左折してキッチンの冷蔵庫を漁った。 冷蔵庫を漁るちあきを見ながら父は、 「お早ようじゃない。こんにちはだ。全く…。」 呆れているようだった。 「受験勉強は進んでいるか??この1週間そんな様子が無いのだが、」 またその話……。受験生かぁ~ 「まだ、実感わかないんだぁハハッ」 父は表情を曇らせた。 「そうか…。なら図書館に行ってきたらどうだ?きっと周りに受験生がいるはずだ、ちあきにもいい刺激になるんじゃないか??」 ちあきは一瞬 行かない。と答えようとしたが、このまま午後もだらだら過ごすのなら図書館にでも出掛けたほうが有意義な午後になると思い直し、 「いってきます」 と小さな返事をした。 ―― ちあきもたらたら起きてきても女だ。乙女でもいい。一応学校の誰にあっても平気なくらいの身仕度はする。 ―― 父に出掛ける事を知らせ自転車に乗り最寄りの駅と反対にある坂の上の洋館風の図書館を目指した。
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