「……魁斗先輩、あれ……」
尚翔クンがオレの裾を引っ張り、とある方向を指差した。
「────え。」
驚いた。
だってそこには、今まさに話題にしていた奴が居たんだから。
棗が、教室の戸口に立ってこっちを見ていた。
「おー! 棗! 来てくれたのかぁ!」
いつもはオレの方から出向いていたのに。
そのたびに棗が迷惑そうな顔をするのは、もう慣れたもの。
それがこうして、棗の方からオレに会いに来てくれるとは。
恋人って素晴らしい…
「……今の……孫に会ったおじいちゃんみたい。」
開口一番、棗がそう言った。
えっ、ひどくない?
「ひっでーなぁ棗。棗がわざわざここまで来てくれてすっげー嬉しいのに。」
「だったら、…──────」
棗が何か言いかけて、けれど口をつぐんだ。
それが気になりつつも、オレは深く追及することをしなかった。
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