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「好き」
「うん」
「好き」
「うん」
好きが止まらない――。
「あたし、太宰治の次でもいいよ」
だって、太宰治は男だし。
もういない人だし。
女の子の中では1番だもん。
「ホントに?」
只野くんが抱きしめていた腕を緩めた。
「いいの?
太宰治の次で?」
そうやって改めて言われると…。
ちょっと複雑かも。
「坂井さんと一緒にいても太宰治読みたい時は、太宰治を優先していいの?」
「うっ…」
それは…ちょっと…嫌かも…。
「だって、太宰治の次でいいんだよね?」
まただ。
只野くんがいじわるく笑う。
ってか?
只野くんって、こんな人なの!?
あたしはぷくっと膨れると、
「只野くん、嫌い!」
あたしをからかってばかりだもん!
「そう、嫌いか…」
只野くんは掴んでいたあたしの腕を離した。
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