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「ありがとう!」
あたしは只野くんから『人間失格』を受けとった。
只野くんの本…。
借りちゃった。
あたしはついニヤニヤしてしまった。
「そんなに好き?」
「えっ!?」
「太宰治」
へっ?
「あ…あぁ…太宰…治…ね」
ビックリした。
あたしが只野くんを好きかと聞かれたかと思った。
太宰治…。
ぶっちゃけ名前くらいしか知らないんだよね…。
でも、只野くんが好きな本なら。
きっと読める…気がするけど…。
大丈夫…かな?
読めるかな?
あたしに…?
あたしは只野くんに借りた太宰治を握りしめた。
「なるべく早く読むね♪」
「別に、どうせ読んだし」
「でも!
頑張って読む!」
只野くんはそんな力入れてしゃべるあたしを見ると、
「変な奴」
と、笑った。
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