16人が本棚に入れています
本棚に追加
「坂井さん?」
あたしは只野くんの言葉を無視してズンズン歩く。
「待ってって」
「待たない!」
そんなあたしの腕を力強く只野くんが掴んだ。
「ごめん…。
嬉しかったからつい、
ごめんね?」
只野くんは小動物のような瞳であたしを見てきた。
ずるい…。
そんな瞳で見つめられたら…。
ほら、
またドキンッドキンッとあたしの鼓動が早くなる。
「好きだよ」
そう言って只野くんは優しく抱きしめてくれた。
お父さんともお母さんとも違う、
ましてや女友達とも違う。
なんだろう?
この感覚。
あったかくて安心するのに…。
ドキドキする。
あたしはおそるおそる只野くんの背中に手を回した。
最初のコメントを投稿しよう!