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只野くんがあたしを置いて歩き出す。
「えっ!?
ちょっと!?」
只野くんはおかまいなしに歩き出す。
えっ!?
えっ!?
行っちゃうの!?
やだ!
やだ!
「やっぱり、好き!!」
あたしは只野くんに後ろから抱きついた。
ギュウッ
って、只野くんにしがみついて離れないように離さないように――――。
そんなあたしの手にそっと触れた。
「坂井さんは太宰治の次じゃないよ?」
あたしは抱きついていた腕を少し緩めた。
「ホント?」
「ホント」
あたしはさらにギュウッと抱きついた。
「よかった」
太宰治より上で。
あたしはニヤニヤした顔が戻らなかった。
「で?
ずっとこのまま?」
「えっ?」
只野くんはあたしの手をそっと剥がすと、
「後ろじゃ坂井さんが見えない」
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