新井 隆臣

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. 「ぐふ……げぼ……」 「一昨日きやがれっすよ、先輩。あ、後用件は直接俺にお願いします。クラスメイトが怖がるんで」 15分ほどで全員伸した俺は、軽く手を叩き、荷物と短ランを持つ。 「んじゃ、お疲れっした」 そのままひらりと踵を返し、さっさと下校してやった。 「覚えてろよ……新井……」 ********** 一仕事終えて良い汗もかいたし、丁度良いだろう。 俺はアイツに会えるのが楽しみで仕方なく、柄にもなく足取りも軽くなっちまった。 「やってるな……」 学校から大して離れていない喫茶店。『営業中』の札を確認し、俺はドアを押した。 「いらっしゃ……あ、おみー!」 奥から手を降り、笑顔で俺を呼ぶアイツ。 「よ、スバル。アメリカンくれ」 「はいよー。マスター、アメリカンお願いしまーす」 ニコニコと注文を受けてくれたコイツが、俺の癒し、スバル。 たまたまこの喫茶店に来た俺を、他の客と分け隔てなく接してくれた。そんで、通ううちに仲良くなったって訳だ。 「おまたせ。クッキーはサービスだよ」
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