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「ビアンカ、俺にはもう恋人がいるんだ。だからこういった行為はもうしないでくれ」
「分かっています。創主様に恋人が出来たこともあちらで感じとりました」
「なら何故するんだ?」
「私の身も心も創主様を渇望してしまいます。私の意思では止めることはできません」
ビアンカは悪びれる様子もなくそう言う。
この悪魔め!
「という訳で諦めて下さい。どうしても止めさせたいなら呼び出した時に事前に命令を下されば大丈夫です」
あくまで自分から止めるつもりは全くないと言うわけか。
「分かった。俺の方で気をつけよう。じゃあ対価を渡す。必要最低限な」
「分かりました。ではお手を……」
ビアンカは俺の最大魔力の半分を吸い上げたあと冥界へ帰って行った。
倉庫の中から外に出る。
城のあちこちが壊されているが既に復旧作業が始まっている。
「こんなところにいたのか」
現場で指揮を取っていたセインがこちらに気付いた。
「セインか。みんなはどうした?」
「無事馬車に乗せて帰すことができた。しかし途中大量の白い攻撃が空から降ってきて魔物を瞬時に倒していったのだが君の仕業か?」
たぶんヘルイヤの攻撃だろうな。
まあ、神は手を出したことを知られてはいけないらしいし、俺と言うことにしておくか。
「そうだ」
「君は一人で魔物の大半を殺し尽くしたのか。しかし何故その魔法を大会の時に使わなかった?使えばもっと楽に勝てただろうに……」
かもしれないな。
だが俺は対人戦で使うことはないだろう。
「当たれば必ず死ぬ魔法。命を軽んじるこの魔法にはなるべく頼りたくないんでな」
「………そうか」
「それより君はここに現れた悪魔のことについて何か知らないか?」
今度はビアンカか。
悪魔と関わりがあるとか言ったら斬られそうだから知らないふりをするか。
「知らないな」
「………本当かい?」
まさか感づかれたか?
「疑ってるのか?」
「とりあえず君は何でも知ってそうだから聞いて見たのだが、知らないのなら仕方ない。あの白い悪魔、純粋に助けたかったのか、はたまた人を誑かすためなのか………」
セインはブツブツ言いながら何処かへ行ってしまった。
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