16痛目 剣を求めて

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「ウワアアアアァ!!」 オレンジ色の髪を振り乱しながら全力で巨大なクマからから逃げているルーク。 それを遠くから眺めている俺とギルドマスター。 「懐かしいな。ジェノンもあんな感じで最初は逃げ回っていたなぁ」 「俺には思い出したくない思い出ですけどね」 只今ルークは短期集中ではないが放課後にギルドマスターの修行と言う名の放置を体験している。 ここの恐いところは…… 「はぁ…はぁ……に、逃げ切っ………!?」 逃げても逃げてもドンドン新手が現れることだ。 種明かしとしては、逃げ切ってしまう=別の魔物のテリトリーに入る。 つまり安息を得るには戦って勝つしか方法はない。 明日はちょうど休みの日、つまりルークはここで一晩サバイバルしなければならないのだ。 あ、とうとうヤケになって魔物と戦い始めた。 「『フレアボール』!!」 初級とは思えない威力の魔法で魔物を火だるまにした。 契約による恩恵その2、魔法の威力の増加。 実に分かりやすい。 そして妬ましい。 ルークは周りの安全を確認して丸焼きにした魔物を解体して肉を頬張る。 「不味い」 食用以外の魔物で美味い奴なんてそうそういない。 例外としてドラゴン種の肉はとても美味だ。 ただし空気に触れるとすぐに劣化し始め保存が難しく、危険度も相まって滅多に市場に出回らない。 そんな雑学はどうでもいいとしてルークは安全を確保できたからと安心してるようだが本番は明日だ。 きっと戦禍の森と呼ばれる意味が分かるだろう。
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