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これはまた面倒くさいことになりそうだ。
「てか、ルークに直接言えばいいじゃないか」
そう、この宝探しのことで俺に言うことなど何もないのだ。
「いえ………その………顔を見ると沸々と怒りがこみ上げてしまうのですぅ」
「何故怒る?」
答えを知っているがあえて意地悪をしてみる。
「うー…………分かるわけないじゃないですかぁ!!」
ナーシャはそう叫び何処かへ走り去ってしまった。
やれやれまだ自分の気持ちに気付いてないのか。
俺はナーシャが落とした古い地図を広げて場所を確認する。
「今の地図と比べないとどこの地図か分からないか」
約二千年以上前の地図だ。
町の名前なんて跡形もないだろう。
俺は地図を自分の部屋に持って行き、今の地図と比較する。
「………ここの山とこの山が同じっぽいな。あれ?だとすると………」
俺は古い地図の聖剣へのルートを今の地図でなぞってみる。
なんというか………
これは強制イベントだったようだ。
「これはもう仕方ないか………」
地図が示した場所は実家の近所にある森だった。
そして夏休み………
一回りどころか十回りくらい成長したルークを連れて二人で取りに行くはずだったが……
「で、またこれか」
馬車の中にはルーク、リエラ、ナーシャ、そして俺の四人だ。
ルークにベタベタしてるリエラを見てイライラしてるナーシャに溜め息を尽きながら実家への道を進んで行った。
「お兄ちゃん……お帰り……」
家に帰って出迎えてくれたのはクロエだった。
「ただいま」
「お邪魔するっす」
「お邪魔します」
「ただいまなのですぅ」
「………」
クロエは俺が後輩達引き連れて帰ってきたことに少し驚いたようだ。
俺達はリビングの机を占拠して聖剣とやらの在処について話をする。
この名もない森の中は危険な魔物は存在せずピクニック感覚で行ける。
そして広くもない。
四人で探せば十分見つかるだろう。
「よし!全員で手分けして探すぞ!」
6時間後………
結局剣は見つからなかった。
ルークは森の中で墓を見つけたと言ったがそれは昔からあったし関係はないだろう。
地図の場所では確かにここなのだが………
何か見落としているのか?
探索一日目は失敗に終わった。
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