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現人神
人の身でありながら神の力を継ぐ選ばれし者達。
「……」
報告書を見ながら俺は考える。
また……厄介事が増えやがった……
「やっほー!遊びに……うわっ!パパ、これどういう状況?」
空気の読めない我が娘、カノンがギルドマスター室にやってきた。
現在カノンは17歳、俺もいい歳したおっさんの仲間入り。
「仕事が終わらないんだ」
「テキトーにやればいいじゃん。パパは真面目過ぎなんだよ」
指パッチンで俺よりも座り心地が良さそうな椅子を出したカノンはそれに座り、ジュースを飲む。
「リリンはどうした?」
「りっちゃんはママとお買い物中」
俺はギルドマスター室で寛ぐ娘を横目で見ながら報告書に目を通す。
神の力を継いだこと自体は別にどうでも良い。
そんな怪物は世界にゴロゴロいる。
だけど、問題なのは神が残した神器を扱えると言うことだ。
現在、俺が把握してるだけで3つ
叡智の書庫、魂操の鎌、寵愛の腕輪
それぞれ知識の女神アカシレ、死の女神ヘルイヤ、愛の女神エルネラの神器である。
叡智の書庫はイルニャンの巣にあるので、まず人が近づこうとは思わない。
魂操の鎌は今もヘルイヤが使っているし、そもそもヘルイヤはまだ消えていないのでヘルイヤの力を継ぐ者はいない。
寵愛の腕輪はこの国の王城の宝物庫の中で静かに眠っている。
残るは男神達の神器なのだが、全て行方知れずである。
闘争の大剣、意思の玩具、豊穣の宝玉、創造主の冠
どれもこれも危険な物ばかりだ。
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