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……拝啓、お父様。
リリンは今、カノンと共に馬車に乗っています。
「……!!」
「キャハハ!」
世界一速い馬であるスレイプニルが最高速で走っているため、私は半ば座席にめり込んでおります。
「ね、姉様!!これは何ですか!?何で目が覚めたらこんな馬車の中なんですか!?」
「ん?もちろん、依頼だよ」
何故私を巻き込むのか……
「この依頼が成功したらパパが何でも言うこと聞いてくれるって」
「……ああ、そうですか」
たぶん、厄介払いでしょう。
カノンが親孝行をしようとするたび空回ってお父様に迷惑が掛かるは身を持って体験していますので……
「遺跡の中に眠る神器を取ってこいだって」
「……」
……嘘でしょうね。
「帰ったら何してもらおうかな?デートなんていいかも」
「……」
既にカノンの頭の中はお父様とのデートのことで頭がいっぱいのようです。
これから先カノンが起こすであろう問題を考えると頭が痛くなります。
カノンが彼氏でも作ってくれれば私の苦労の大半をその彼氏に押し付けられるのですが……
「それで目的地は?」
「新しく見付かった遺跡でまだ命名されてないけど、ここだよ」
カノンの手から渡された地図を見る限りスレイプニルで約2日と言う距離でしょう。
「姉様、さすがにこれに半日以上乗るのはキツいです。何処かで休みながら行きませんか?」
「えー、ぱぱっと行ってちゃちゃっと終わらせようよ」
その意見には賛成ですが、少々不安要素があります。
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