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しかし、鍵を開け、ドアノブに手をかけたその時です。 「ハンナ!」 誰かに名前を呼ばれました。 いえ、誰かに……と言うのは、あまりにも不適切です。 その声は、紛れもなく私の愛する人の声。 我が夫、エドワードさんの声でございます。 ですがここで疑問が持ち上がります。 声の持ち主である夫の姿が見えません。 それに、声は、家の中から聞こえたような気がします。 …………状況が把握できていないのは私だけなのでしょうか? 「エドワード……さん……?いらっしゃるのですか?」 私は、呟くように、姿の見えない夫に問いかけました。 「ハンナ、ここだ」 その問いに応えるように、声が返ってきます。 ……ちょっと待ってください。 今、声はどこから聞こえたでしょうか?
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