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それにしても酷いですね。 私が大の蜘蛛嫌いだということを夫はご存知のはずですのに。 仕掛けがわかってしまった私は、少しの苛立ちを覚えながら、蜘蛛の“おもちゃ”に近づきました。 見れば見るほど、本物にそっくり。 よくできた代物でございます。 私は、気持ち悪いとは思いつつ、本物でないことに安堵して、黒いおもちゃをじろじろと眺めました。 勿論、やっぱり抵抗があるので、1メートルくらい離れたところからですが。 「エドワードさん、出てきてくださいな。近くに隠れているのでしょう?」 私は蜘蛛から目を離し、家の中を、玄関から見える範囲で見渡しました。 きっと、近くで私の驚く様子を眺め、楽しんでいるのでしょうから、その辺りの物陰にいるのでは、と思ったのです。
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