狭間のもの

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みんながちりじりになった後、ケムンはスワンのわびしい私物の中に、そっと手を入れた。 その手を抜くと、そこにはオイルライターが一つ握られていた。 ケムンが大好きなバットマンのキャラクターライターだ。 子供の頃からのバットマンファンのケムンは、それがけっこうなレアなものである事を知っていた。 なんでもスワンの子供が生まれた時――子供! 子供だって? あんな奴に子供が居るのか。あの貧相な顔で――誰かからお祝いにいただいた物だそうだ。 ケムンが以前スワンに 「お願いですからどうかそのライターを私にください」
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