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“これからどうなるかだって? 喰うんだよ、おまえをな”
ケムンが思わず口に出す。
「……俺なんか喰ったって、美味かないぞ」
“顔”が笑う。
“美味い不味いは、この際問題ではない。この世界に来て直ぐに判った事が有った。
“卵”を一つ産むのに、人間一人の身体が必要だという事がな。だからおまえも喰うんだよ”
――卵?
足とは違い、自由に動く首をケムンが左右に振ると、それは直ぐに見つかった。
ケムンから離れた場所に置かれている会議用の長机の上に、卵があった。
全部で四つ。
ソフトボールくらいの丸く白い球体。
右から、スワンの卵、どろんの卵、たけさんの卵、ヤギさんの卵。
やつらと意識が繋がっているせいか、ケムンにはそれがありありと判った。
サムソンの卵は、サムソンを喰ってからあまり時間が経っていないが為に、まだ産まれてはいない。
産まれるまでには、もう暫く時間がかかりそうだ。
二人の少女が近づいて来た。
ケムンには目もくれずに進み、一人は顔の右に、一人は顔の左に立った。
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