狭間のもの

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少女達は顔に両手両足でしがみ付くと、少し上に登った。 すると少女の足の膝から下位のところまでが、顔の中にずぼずぼ入っていく。 少女達の身体は真横になり、そのままの体勢で両手を広げた。 ケムンが思わず見入っている目の前で、今度は少女達の頭が、真ん中からきれいに裂けた。 裂け目は胸の辺りで止まり、次に骨格を完全に無視した肉の動きが始まった。 むくむくとあちこちが膨れたかと思うと、逆に細くなった所もある。 二本の足は一本になり、一本の手は一本の棒の様な物になった。 少女の身体の面影をかろうじて留めてはいて、二つの目もまだ残ってはいるが、それは全く別の物へと変化していた。 それは手だった。 不恰好な四本指を持つ手が、其処に出来上がっていたのだ。 頭の中に手を入れられてなくても、動くことが出来なかったであろう異形の光景を見つめるケムンの脳に、また言葉が響いた。 “これが本来の姿だ。待たせたな。今から喰ってやる” ケムンは、逃げる、事しか考えてなかった。 しかし肝心な自分の身体が言うことをきかない。
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