狭間のもの

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が、やがて一人の少女の背中から、美しい曲線を持つ足が生えてきた。 それは長さは同じくらいだが、少女の細い足ではなく、十分に肉の付いた大人の女性のものである。 そして今度は背中と言わず腹と言わず、胴体のあらゆる所から、何本もの成人女性の足が次々生えてきた。 足に埋もれて、顔や手が見えなくなっている。 そして足のハリネズミは、何の抵抗も無いままに、床に倒れ込んだ。 もう一人の少女は、同じく胴体から隙間なく、少女と同じ顔の首がぼこぼこと幾つも生えてきた。 そして全員でまるでコーラス隊の様に、同じ顔で同じ悲鳴を上げている。 人間の少女が上げるものと同じ悲鳴。 それも束の間、先の少女の後を追うように、床に倒れ込んだ。 見れば本体も崩れるように床に伏した。
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