プロローグ

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私は薄れゆく意識の中で光に呑まれる感覚を感じていた。 そら(ここは次元の裂け目みたいね。何も聞こえない………。ただ、静寂があるだけ。かなりのダメージを受けたみたいね。目が見えないわ。) 私は、耳を頼りにおかれた状況を確認する。やはり、生物の気配は無い。 そら「みんなは無事、逃げ出せたかしら? 」 あの時、私は暴走したメルマドスから仲間を守るべく最後の力をぶつけた! しかし、互いのあまりのエネルギーのぶつかり合いにヨルムンガント要塞は崩壊した。 そら「結果的にランカークスの言ってた通りになったわね。自己犠牲………か。」 でも私はこれで良かったと思っている。悔いは無い。何故なら私は召還されし者として異世界へ召還されるのは決定していた。つまり、召還され使命を果たすまでは死なないからである。だから私はあえてメルマドスと共に要塞に残ったのである。 そら「でも、メルマドスの最後の言葉………気になるわね。不死身の生命体なんているわけ無いけどきっと悪役の捨て台詞よね。」 ???「………大丈夫か? マスター。」 私は聞き慣れた声にハッとした。 そら「あなたも一緒だったんだ。フェンリル………。」 フェンリル「マスターを一人にはさせないさ。我は護衛獣だからな…………。」 私は、フェンリルの言葉に思わず涙を流した。 そら「フェンリル………そこにいる?」 フェンリル「ああ、いるぞ。」 そら「フェンリル………あなたの身体、温かいわ。」 私はフェンリルのもふもふの毛皮の感触を感じ取り安心した。 そら「もう、目が見えないわ。」 フェンリル「マスター………今は休んでください。マスターはもう、十分戦った。次なる戦いの前に………。」 フェンリルはそう言うとそらの顔に鼻先を擦り付けた。 そら「わかった。私の護衛はフェンリルに任せるわ。」 私は、そう言って目を閉じた。 フェンリル「…………さて、我も眠りにつくか。」 フェンリルはそうつぶやくと目を閉じた。 そして、一人と一匹は現れた七色の光の中に消えた。 一人と一匹が光に呑み込まれた後、異世界の辺境に流れ星が落ちたのだった。
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