殺意の鍵

ゴト師

「分かっているさ、必ず出してやる」兄孝史（たかし）は学の辛さを同情していた。

「頼むよ、兄さん」

「無実の証しを、直ぐに探してくる」と兄の孝史は学と別れ、その足で学のアリバイ探しを始めた。

事件があった、その日、学は現場とは反対方向の競輪場から帰ってきたと言う、家に着いた頃、その事件は起きている、学の家から犯行現場まで、車で四十分以上はかかる、時間的に犯行は不可能である。