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「名前は分からないのですが、絵が描いてありました」主婦は細い眼を大きくして答えた。
「絵ですか、どんな絵でしたか」言下に訊いた。
「ウサギの絵です」
「ウサギですか」と、孝史は変わった車なので、見つけやすいと思った。
「はい、ウサギの顔です、そのとき一緒にいた娘が指さして喜んでいましたので、でもその人が見たかどうかは分かりませんが、あのアパートの向かいで、工事をしていたので、見ている可能性がたかいと思います」
「ありがとうございます」礼を言って孝史は
工事をした者が、学を見ていることに望みをかけた。
早速、電気工事店を探し尋ねた。
その店は駅、近くにあった。
「ええ、あの日ですか」と店主らしい男が言い、
「あの日・・・担当は鈴木ですね、あの辺りの工事をしたのは・・・」と、作業ノートを見ながら、すこし面倒臭いそうな顔で答えた。
それでも、店主は奥にいた鈴木を手元へ呼んだ。
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