それは嵐よりも突然に

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文久三年 十一月下旬――。 「土方さーん、寒いですねー」 「いきなり襖を開けんな! ていうか、そう思うならさっさと閉めろよ!」 「えー、良いじゃないですか」 「さみいんだよッ!!」 勢い良く襖を開けた沖田総司は、部屋の主である土方歳三に、あるものを見せつけた。 「これ、良いんですかー?」 「お前! どこでそれを――…へぶしっ」 ――どすんっ! 「ここはどこじゃ!?」 「あ、何か降ってきた」 「貴様っ、誰じゃ!」 「勝手に降ってきたくせに何言ってるのさ」 「何故耳が無い! 貴様、我(われ)の国の者で無いな?!」 「いやいや、君こそこの国の人間じゃないよね?」 「何を言う! 我は――ふぐっ」 「いつまででも俺の上に座ってんじゃねえよ!」
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