3 こじれあう関係

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「宮森、放課後ちょっと時間ある?」 俺はようやく宮森に話し掛けられた 朝は由海が色々うるさかったし 昼は美紀とずっと一緒にいたから話し掛けるタイミングが放課後になってしまったんだ 「いいけど……どうしたの?一ノ瀬君」 …一ノ瀬君… 会った時は名前で呼んでくれてた気がする 「じゃあ…とりあえず屋上へいこうよ」 俺は話す場所を屋上に指名した 誰もいないし邪魔が入らないって思ったから 「…で?どうしたの?」 まずは謝ろう… 「あ、あのさ、この前はホントにごめん」 「…?」 俺が何を言っているかわからないって感じだ 「志帆ちゃんから聞いたんだ。 昔一緒に遊んだよね、覚えてなくてごめん」 「…そっか、やっと昔のように話せたね。うん、いいよ。ありがとね。海斗君!」 呼び名が変わった 「それでさ…今から遊ばないか? また昔のように…さ」 「…ホント?また一緒に遊んでくれるの?」 もう宮森が悲しむ顔は見たくなかった 「当たり前だよ。だって…」 「友達だから…だよね?海斗君…海斗君…」 せりふを取られてしまった 「ああ、また昔のように、たくさん遊ぼう」 そしてお互い笑いあった 手帳を拾ってから 何故かこの人に惹かれるものがあった ひょっとしたら 俺は宮森が好きなのだろうか 今はわからない… 今はわからないから わかるように努力をしよう そんな小さな決意を胸に 俺たち二人は初めて出会った公園に向かった …バタン
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