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美紀サイド
屋上に一人残った私
不覚にも先ほどの二人の会話
を盗み聞きしてしまった
…なんだろう
何故か聞いていて楽しいとは
思えなかった
まさか二人は昔からの知り合いだったなんて
ずっと海斗と一緒にいたけど
そんなの知らなかった
海斗のことは何でもわかっているつもりだった
由海ちゃんよりも…
一樹よりも…
誰よりもわかっているつもりでいた
うぬぼれだったのかな?
海斗は昔から優しかった
私が運動会でビリになって
クラスのみんなからたくさんの悪口を言われているとき
海斗だけだった
海斗だけが私の前に立ってその悪口を全部否定してくれた
そのころからかな…
海斗ばかりに視線がいってしまうようになったのは…
由海ちゃんと遊びたいって
口実で海斗の部屋にいったり
面倒みるって言っていつも
海斗を起こしてあげたり
何かと思うといつも海斗のことばかり考えてた…
海斗は誰にでも優しかった
別に私だけに優しいわけじゃない
そんな性格だから海斗のまわりにはいつも人が絶えない
告白されているのだって知っている
良く言えば天性の優しさ
悪く言えば八方美人
そんな海斗がとても眩しく見えていた
私は宮森さんに嫉妬してるのかな…
わからない
わからないなら…
わからないなりに探してみよう
自分が納得する答えを
「これをあげたのは私なんだよ…海斗…」
赤いペンダントが夕日に照らされて
とても寂しくみえた
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