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「ねえ、あんたがいつも首につけてるその赤いやつってなんなの?」
幼なじみの藤咲美紀にそんなことを質問されていた
「確かに、いつも大事そうにつけてるよね お兄ちゃん」
「うーん…俺もよく覚えてないんだよな。昔友達だった女の子から居なくなってしまう前にもらったペンダントってだけは覚えてる」
端から見ればなんだかロマンチックに見えるかもしれない
だが実際はそうでもなかった
俺はその女の子の顔はうっすら覚えているんだけど名前は覚えていないからだ
確認しようにも名前がわからないんじゃしょうがない
ただ…
寂しそうな印象だったのはなんとなく覚えてる
多分だけど
そんなことを話していると俺達は学校についた
「由海ちゃんにとっては初めての高校生活ね。ようこそ!桜の森高等学校へ!」
美紀が元気よくそう言っていた
「う~…友達つくれるか心配です…」
「大丈夫だよ由海、友達なんて自然に出来てるもんだから」
それに田舎の学校だから顔見知りはたくさんいるだろう
「お~い!海斗!」
あいつは…一樹だ
坂本一樹。俺の親友だ
「おはよう!クラス分けどんな感じ?一樹」
「俺と海斗は同じクラスだよ!また一年間よろしくな!」
「まじか!よろしくな一樹!」
「良かったですね!お兄ちゃんと一樹さん、同じクラスで!」
「ありがと由海ちゃん!…あ、ついでに美紀様も一緒だな」
一樹がからかうように言った
「いい加減様はやめてよ~」
みんな笑っていた
穏やかだな
パサッ
ん?あの女の子、何か落としたな
拾ってあげるか
「すいません!落としましたよ!」
手帳だった
俺は名前を確認しようとした
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