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春樹は約束通り2周先導するとピットに戻ってきた。そのピットレーンでは笑みがこぼれていた
「大神君の本来の走り方も悪くない。けど、その走りにターボの爆発力を加えればまだまだ速くなる。
君のリズムではターボラグが発生して、立ち上がり加速が少し鈍るんだ。だからコーナリング中にブレーキを踏んで調整したり、必要以上に減速することでターボの有効回転数以下に放り込んでしまうのはご法度。どのリズムがターボのパワーを立ち上がりで一番生かせるか。それを見つけるのは君の仕事だよ。」
サーキットにひびくロータリーサウンドに優越感を覚えながらピットに戻ってきた。篠宮が腕で指示を出して停車させる。
「ご苦労さん。隼人が何かつかんだようだな。」
「えぇ。あの雰囲気なら大丈夫でしょう。あとは時間との勝負ですね。」
「すまんな。貴重な時間を使わせて。」
「いえ。もともとぼくはスーパーラップ派ですから」
春樹は篠宮に向かってほほ笑んだ。そのまま、目線をタイミングモニターに向けた。
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