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決勝までの時間
2人のドライバーはピットの奥で休んでいた。
「どう?大神君。レースの雰囲気は慣れた?」
「えぇ。思ったよりは和やかですね。」
「まぁね。ある意味ではこのサーキットに居る人はみんな仲間だし、必要以上に敵対心は持ってないよ。だからこそクリーンな勝負ができるのかな。」
2人が話をしているとスタッフの1人がやってきた
「済まないんだけど、誰か飲み物勝って来てくれね?ドリンク切れちゃってさぁ、クルーは最終調整で手が離せないんだ。」
「あぁ、俺行きますよ。」
大神はサッと立ち上がり、パドックに出た。
「確かパドックを抜けた先に自動販売機あったよな。」
大神は左右を見渡して歩き始めた。
「そういやずっと走ってたから、パドックのほうをゆっくり回るのは初めてかも・・・」
すると、1人の若い男が向かってくるのが見えた。
大神はすれ違いざまに男の胸元を見た
「RTサナダ・・・あいつがあのシビックのドライバーか。」
大神は心の奥で何かこみあげてくるものを感じた。
それは同世代に対するライバル心か、PPをとった実力への恐れなのかは分からない。
一方の真田もすれ違いざまに大神の存在を気にかけていた
「OGTってことは、アイツがあのやかましいロードスターの・・・」
真田は振り向いた。
そこにには遠ざかる大神が見えた。
「あれだけリアが流れてもブレーキを踏まなかった・・・いい根性してるじゃん。」
「あれ?翔、何してるの?」
真田のもとにRTサナダのスタッフらしき男がやってきた
「別に。なんか面白い事でもないかなと思ってなぁ。」
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