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『じゃあ、ミーティングを始めよう。』
ピットの中ではスタッフが円形に座り、中央にはもういい年の男が立っていた
彼はOGTレーシングの監督である篠宮剛(しのみやたけし)
もともとはドライバーで、その昔、JTCCというそこそこ有名なレースに出たこともある。
『今回のドライバーはいつも通りの山川春樹(やまかわはるき)と…初めての大神隼斗(おおかみはやと)だ』
そう言われてまず立ったのは山川春樹だ。
色白だが髪は短めで活動的に見える。明るい性格で、チームでも中心的存在である。
春樹はいつものように笑顔をスタッフに見せた。
『隼斗、お前もなにか挨拶しな』
篠宮は春樹の隣に座る青年を見た。
『あ、大神っす…えと、本格的なレースは初めてなんでよろしく』
大神は最近高校を卒業したばかりである。
もともと、OGTレーシングとは大神の父親が経営する『ガレージOGT』のレーシングチームで、大神は昔から篠宮とは関わりがあり、車やレースに興味を持ったのは父親や篠宮の影響である。
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