初参戦

8/30
前へ
/319ページ
次へ
その後も大神は自分なりに試行錯誤して、練習走行を終えた。 ピットに戻り、再びミーティングが始まった。 篠宮はデータを片手に話し始めた 『春樹のR32についてはいうことはない。タイムも出てるぞ。なにかコメントは』 『はい。足回りも決まっているし、新しいターボキットも良いです。あとはギア比を……』 『フム。分かった。すぐに取り掛かってくれ』 篠宮近くにいたスタッフを指差した。 『次は隼斗のNBーR。春樹の一秒落ちか。』 『へぇ。予想以上のタイムじゃないですか。』 話を聞いていたスタッフやメカニックも驚いた様子である。しかし、篠宮は強ばった表情をした。 『たしかにかなりの好タイムだな。でもな、隼斗、お前まだまだNBーRを生かしきれていないぞ。』 『え…』 大神自信も驚いた。 『ワシの予想じゃNBーRの限界は春樹の一秒落ちだった。まさに今のタイムだ。だが見ているとまだまだお前は本当の速さを引き出せていない。つまり…』 春樹がいつになく真剣な顔つきで篠宮を見た 『大神くんならNBーRの本来以上のパワーを出せるってことすね。』 『ウム。』 春樹は一瞬考えて笑顔で大神を見た 『やるなぁ。俺にも大神くんの走りで1つ気になったことがあるんだ。来なよ。教えてあげる。』 『あ、はい』 大神と春樹は、NBーRのほうに歩いていった それを見とどけた篠宮は練習走行の総合順位に目をやった 『おやっさん、やっぱりあそこは…』 『うむ。相変わらずの速さだな…サナダ』 篠宮はトップタイムを指差した そこには『RTサナダ』の名前があった
/319ページ

最初のコメントを投稿しよう!

141人が本棚に入れています
本棚に追加