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その後も大神は自分なりに試行錯誤して、練習走行を終えた。
ピットに戻り、再びミーティングが始まった。
篠宮はデータを片手に話し始めた
『春樹のR32についてはいうことはない。タイムも出てるぞ。なにかコメントは』
『はい。足回りも決まっているし、新しいターボキットも良いです。あとはギア比を……』
『フム。分かった。すぐに取り掛かってくれ』
篠宮近くにいたスタッフを指差した。
『次は隼斗のNBーR。春樹の一秒落ちか。』
『へぇ。予想以上のタイムじゃないですか。』
話を聞いていたスタッフやメカニックも驚いた様子である。しかし、篠宮は強ばった表情をした。
『たしかにかなりの好タイムだな。でもな、隼斗、お前まだまだNBーRを生かしきれていないぞ。』
『え…』
大神自信も驚いた。
『ワシの予想じゃNBーRの限界は春樹の一秒落ちだった。まさに今のタイムだ。だが見ているとまだまだお前は本当の速さを引き出せていない。つまり…』
春樹がいつになく真剣な顔つきで篠宮を見た
『大神くんならNBーRの本来以上のパワーを出せるってことすね。』
『ウム。』
春樹は一瞬考えて笑顔で大神を見た
『やるなぁ。俺にも大神くんの走りで1つ気になったことがあるんだ。来なよ。教えてあげる。』
『あ、はい』
大神と春樹は、NBーRのほうに歩いていった
それを見とどけた篠宮は練習走行の総合順位に目をやった
『おやっさん、やっぱりあそこは…』
『うむ。相変わらずの速さだな…サナダ』
篠宮はトップタイムを指差した
そこには『RTサナダ』の名前があった
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