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じい様の渾身の叫びが届いたのか、その鳥はまるでどこぞのヒロインのように、ゆっくりとじい様の手の中へと吸い込まれていきました。
ホッと胸を撫で下ろしたじい様は、その鳥……まぁお察しの通り、すずめなんですけどね。
すずめを手当てするため、家に持ち帰ることにしました。
「今帰ったぞーい」
何だか久しぶりに思える我が家に到着し、声をあげると中からやってきたのは……
って、ばあ様以外有り得ないんですけどね、はい。ばあ様でした。
「えっ、遅くない?てか遅くない?肉買いに行っただけだよね。まさかその歳で浮気とか?おいおい、どんだけ若いんだっつーの。てかお腹空いたんだけど。早く作ってくんない?」
ばあ様は年齢を感じさせない喋りで、じい様にそんなことを言うや否や、再びマッサージチェアに揺られ始めました。
「どっこらしょっと…」
じい様はというと、さすがにあれだけの山道を歩いたためか、少しお疲れムードを出しつつ、入手してきた食材たちを机の上に広げました。
そして、じい様は早速夕飯にとりかか……るわけではなくて、すずめの応急処置から始めるようです。
器用な手つきで包帯を羽根に優しく巻いてやり、柔らかなガーゼで作った毛布のようなところに、そっと寝かせるその姿は、まさしく獣医そのものではありませんか。ありませんね、はい。
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