本編

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それは昔々のことなのか はたまた最近のことなのか そこら辺はよく分かっていませんが 一見、優しそうなじい様と 一見、悪賢そうなばあ様が 住んでいたそうな。 あ、とある山中に住んでいたそうな。 ばあ様は家事やら何やら、すべてじい様に任せっきりで、すっかりニート気分の老後生活を送っていたようです。 こき使われっぱなしのじい様はというと、Mなのか何なのか、毎日笑顔で仕事に励んでいたようです。 「ねぇ、今日の晩飯なに?」 マッサージチェアに揺られながら、床拭きをするじい様に尋ねるばあ様。 「そうじゃのう…今日は釣りでもして、たまには魚を食べるとするかのう…」 「え、嘘でしょ?肉食べたいんだけど。ハンバーグにして。それかハンバーガー買ってきて」 「それじゃ牧場行ってくるから、ハンバーグにするとしよう」 こんな感じの毎日らしいのですが… あまりにも不憫な話ですね。 マッサージチェアに揺られながらばあ様は音楽を聴き出したので、気分を損ねないようじい様は、いそいそと家を後にして、牧場に向かうことにしました。 「財布は持った、ハンカチ・ティッシュはポケットの中、差し入れ用のわらもよしと……行くとするかのう」 まだ寒さが残る朝の中、じい様は荷物の確認を済ませて、山道を歩き始めました。  
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