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「うほっ、こっちにも…! 今日は豊作じゃのう」
両手いっぱいになるまで、じい様が摘んでいたのは、食べ物なのに菌類に該当されるキノコでした。
じい様は年齢を感じさせない機敏な動きで、次から次へとキノコをもぎ取っていきます。
これが山に暮らすベテランの手つきだと、まるで訴えかけてくるようではありませんか。(読者に対して)
牧場主のおっさんから手渡された、お肉が入っていたビニール袋の中にも既に、溢れんばかりのキノコが詰め込まれています。
「さて、キノコばかりじゃ芸がないのう…。ん?あれは……」
山の達人が次にロックオンしたのは、木々の枝に実る、たくさんの木の実のようです。
「とぉっ!」
元気な掛け声と共に、木の幹にしがみついたかと思えば、じい様は少年のように一気に上り始めました。
思わず、近くの猿も目を疑うような光景でしょう。
じい様の身丈五個分はあろうかという大木の頂上に、推定人類最速の早さで上り詰めたのですから。
「しゅわっち!」
そのまま難無く木の実を調達し終えるとじい様は、何と驚くべきことに、頂上から飛び降りたのです。
ズシーン!!
その反動で辺りの木々は揺れ、木の葉が舞い散っていき、さながら何かのアクションシーンを撮っているようであります。
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