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一瞬戸惑い、辺りに何もないことを確認すると、今度は躊躇無く、数歩歩いて白猫の隣までやってきた。
先が丸く曲がった嘴が、傷付いた前足の感触を確かめようと一回つっついた。骨張った前足は硬く、弾力もそれ程ない。
2、3回まばたきをして首を傾げると、またつっつこうと顔を近付ける。
サク。
渇いた砂を踏む足音に、カモメの聴覚が気付く。
一瞬で翼を広げ、足をバネにして飛び立つと、カモメは一気に水平線の向こうへ飛んで行ってしまった。
悔しげに、一声鳴いて。
サク。サク。サク。サク。サク。サク。
一定の間隔の保った足音が、白猫に近付いていた。
やがてある程度近付くと、足音は小さくなり、
サク。
サク。
白猫の身体に影がかかり、足音は止まった。
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