切実に休みが欲しい

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 筋肉痛の中、ダッシュをするという一種の拷問に耐えて息絶え絶えに職場へと足を踏み入れる。 茶色のレンガで造られた、立派な建物。中は広々としており柱が数本所々に立っている以外、視界を遮蔽する物がない。 そこに机や椅子が並んでいるのが、精霊が発見される前までの日常だったらしいが、現在はそんなことはない。 そう一部、まだ精霊が目を覚ましていない。または精霊が乗り移っていない机や椅子は、普通に置かれているが、ここに勤めている机や椅子の多くは精霊が宿っているか、目を覚ましているので人間と同じように出社してくるのだ。 その為、大きな机や椅子が入れるように入り口も大きく作られている。 中を見渡せば、右奥に自分の机(まだ精霊が宿っていない)が置かれた場所に羽ペン先輩がこちらに手を振っているのが見えたので、俺は慌てて頭を下げながら先輩の下へと向かった。 「すいません!遅くなりました!」 「ん? 気にするな、まだ開始時刻ではないだろう? むしろ早く来て偉いじゃないか」 「いえ、そんなことはありません。自分まだ入ったばかりのものですから、早く来て少しでも仕事を覚えなくては――」 「何、気にすることは無いさ。それに昨日は大変な仕事をしたことも聞いているな。ただ、今日回される仕事はもっとある意味厄介かもしれないがな」  頭を下げ続ける俺に、羽ペン先輩のフィールさんは笑みを交えながら優しい言葉を投げかけてくれる。 ただ、気になるのはある意味昨日以上に厄介仕事とはなんだろうか? あまり、肉体を今日は酷使したくないのだが、仕事ならば仕方が無い。 体には悪いが、思いっきり酷使させてもらおうと思いながら、どのような仕事か尋ねてみた。 「それはどのような仕事でしょうか?」 「ん? ああ、酒の精霊を知ってるか?」  フィールさんは自分の羽である綺麗な白色の羽を撫でながら、そう尋ねてきた。
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