私と彼の休日

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私の居る世界は、これほどまでに眩き輝くのかと思うほど、絶景が広がっていた。 夜空と間違うほどの星のような瞬く光。あれが、人工的なものとは思えないほど、圧倒的な魅力をもって言葉もなく見入ってしまった。 空気が澄んでいて、空が暗い分良く見えた。空には幾億もの星があるのに、空にも町にも星があった。 「・・・・すごい」 そんなありきたりな言葉しか出てこない。 私の表現力の無さが憎い。 周りのカップルも、ただ片方の肩をくっつけあって町を見下ろしていた。 稜くんも、それに習ったかのように私を後ろからふんわり包み込んで一緒に眺めた。 すぐ隣には、彼の頬。もう付き合って1年になるのに、この距離にはドキドキしてしまう。 「・・・・なぁ、碧衣」 「ん?」 「さっき、買ったミサンガ」 「うん?」 「俺に結んでくれない」 「ここで?」 「そう。空も、地も星にみえてさ。ここで碧衣がミサンガに願いをかけて結んでくれたら、願いがかな気がしたから」 ふと、空をみあげた稜くんにつられて私も空を見上げる。今にも零れ落ちそうな星達が私たちを見下ろしていた。 そうだね。 今なら、願いも叶う気がする。
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