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少しの時間がたった。
どちらも何もいわず、ただ抱きしめあったまま。二人の間に冷たい冬の風が通らないように。
でも、少し苦しい。
「・・・っ。稜くん、苦しいし外だから恥ずかしいよ」
「大丈夫、誰も気にしてないから」
「で、でも」
「碧衣は、恥ずかしがりやだな」
そういって、そっと体をはなすと優しく見つめてきた目が近づいてきて。唇にキスを落とされた。
「・・・っ」
下唇をついばまれるような、優しいキスが落ちてくる。唇は外気に触れていた為冷たかった。
「・・・りょ、う・・くん」
離して、というように言葉を紡いだけど、口元だけわらってさっきより強く唇が重なるキスをした。
温かい所を探すように唇が角度を変えて深くなる。
ゆっくり唇が離れると、ギュッとまた抱きしめられた。恥ずかしくて、隣の人に見られたかもしれなくて、顔は上げられなかった。
「ごめん、可愛くて。我慢できなかった」
そう言ってから、体を離して手をつないだ。
「帰ろうか」
「・・・うん」
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