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「南さん、コピーお願いしたいんだけど」
「七居さん、大丈夫です。何時までに必要ですか」
「11時に出るから」
「分かりました。席までお持ちしますね」
「ああ、よろしく」
七居さんは、口数が多いほうでは無くクールに仕事の依頼が来る。
口調も、淡々としていて営業活動もそんな感じなのかなと思って森ノ宮さんに尋ねたところ、営業先では笑顔でお客様からへの印象はとても良いらしい。
すでに入社して10日を過ぎた私はあらかたの仕事の流れも分かり営業だんも仕事を依頼してくるようになった。
森ノ宮さんも、退職に向けて私が一人に慣れるように午前だけお休みをしたりして様子を見てくれる。
毎日知らない用語等で、電話対応にも社会人1年生の様にドキドキしてしまう場合もあるが、今のところ大きな悩みも無く上手くやっていけていると思う。
このまま順調に行けばいい、そう思った。
コピー室に移動して、もらった資料を確認する。ちゃんと七居さんは付箋で "10部、両面で" とメモ書きがしてある。字はカクカクしていて特徴があった。
両面、間違えないようにセットをして部数を登録する。スタートボタンを押してから、コピーから刷きだされる紙を眺める。
3部程溜まったところで、クリップで1部ずつ留めた。
(お客様のところへ持っていくならファイルと、封筒もいるかな)
そう思いながら、全ての書類を分けて10部作成した。フロアに戻って、1部ずつファイルに入れて封筒を持って七居さんの席へ近づく。
七居さんは、外出準備で上着を着ているところだった。
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