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「七居さん、資料用意できました」
「早いな」
そういって、私の手元に目を落とした。
「10部ファイルに入れておきました。封筒は必要ですか」
「ああ、助かる」
そういってそのまま受け取ってくれた。そのままかばんに入れようとしたから、失礼しますといって戻ろうとしたら
「姉さんなら・・・」
「えっ?」
「機嫌悪いとコピーしたまま渡されるから、助かった」
「そうなんですか?」
森ノ宮さんはきっちり依頼事項はこなすイメージだけれど。
「姉さん雑用嫌いなんだ。忙しい時は無理せず、ちゃんと言って」
ああ、恐らく森ノ宮さんはただでさえ依頼事項で忙しい時に、コピー等面倒な仕事を頼まれるのが嫌なんだ。
その気持ちはすごく分かる。
忙しい時に限って単純作業のものって後回しになってしまうしなんでもかんでも頼まれても困るもの。
「大丈夫です。七居さん優しいですね、ありがとうございます」
「・・・。別に」
ちょっと驚いたような顔をしてぶっきらぼうな返事が返ってきた。意外と会話も続き、皆ちゃんと私に優しい。
何かうれしくなって、席に戻ると机に依頼事項が何件かあった。
それを確認しつつ席を外している間に急ぎの依頼が無いかメールチェックをする。
外出している佐々木さんからの決まった来客予定登録をして、もう一つのメールを見た。
(あれ、外出先からだ。このアドレスは、矢野さん?)
まだ営業携帯のアドレス登録をしていなく名前は出ないが、アドレスに名前が入っていて分かった。
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