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「こちらこそ、ご迷惑をお掛けするかと思いますが早く仕事を覚えたいと思いますので宜しくお願いします」
そういっておじぎをした。
それを微笑みで受けた森ノ宮さんは、
「早速ロッカーとフロアを簡単に説明するわね」
そう言って、誘導するように私に背をむけた。
後ろ姿を眺めながら、森ノ宮さんの全身に目を走らせる。森ノ宮さんはとても綺麗な大人の女性という印象。
すらっとした体格に、肩の長さで切り揃えられたつやつやのニュアンスボブ。瞳はアーモンドアイで、笑うと目じりに小さい皺ができるようだ。
上品なブラウスと膝丈のミックスツィードのスカート。ヒールはオフィスレディらしく7cmだ。
アクセサリーは、時計と左薬指に2連の指輪。
指輪をみながら、結婚退職なのかな?
そう思いながら付いていった。
引継ぎをする女性がどういう方か気になっていた私はやさしそうな雰囲気に、とてもホッとした。
採用面接の際に、営業支社25人中、女性は2人のみで年齢は32歳と40歳の人と聞いていたので、雰囲気が合わなかったらどうしようかと内心ビクビクしていたからだ。
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