episodeⅡ

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夕方の空は茜色に染まり太陽は紅く燃えて駈の後ろに影を作る。 夏休み一週間前の火曜日、憂鬱になる授業を乗り越え今は放課後。 PM/5:10 駈は通い馴れている道を歩く。何度この道を帰り道として歩いてきたことだろう。 退屈だ。 俺の日常はその一言だ。満足はしている。友達だっているし勉強だってまあまあできるし運動だって得意だ。だけど退屈だ。 いつも通りの日常。 変わらない日々。 ただ同じ日々を繰り返すだけ。退屈極まりない。俺は銃で撃ち合ったり剣で斬りあったりしている夢をよく見る。夢はその人の願望の塊らしい。つまり戦いを求めてるという事なのだけれど俺の場合は違う。きっと俺は非日常を求めているんだ。 俺がいる日本という国は第ニ次世界大戦の敗戦をきっかけに『我が国は軍隊を持たない』と定めた。だからどこにでもいる普通の一般人である九条駈が銃を使う機会はありはしない。ましてや剣なんて漫画や小説の中に出てる代物だ。剣を使う機会なんて無に等しい。 まあ俺こと九条駈は毎日退屈な日々を送っているわけなのだが何もしていないというわけではない。 小さい頃から好奇心旺盛だった俺は不思議に思ったこと、興味を惹かれた事にはとことん知りたくなる性分だ。それは今も健在で帰り道は必ずと言って良いほど寄り道をする。興味を持った道を前には歩みを止められないのが駈クオリティ。 今日も寄り道したくなる道を見つけた。歩道のない道路からほっそり伸びてる石畳を敷き詰めたその道を。
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