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湖の上に浮かぶ深緑の弾丸、辺国の機馬パロットラの内部。
平均的な機馬と比してほぼ半分。5メートル程しかないパロットラは搭乗領域もコンパクトで、人一人がようやく収まる程度の大きさしかない。当然単座となっている操主席に座る男は、座席の正面と左右に配置された三面硝子板を冷めた目で眺める。
硝子板に表示されている各種情報は、他の六機馬が持つものとは比べ物にならない程に精緻だ。周囲の地形情報、詳細配分、因子特性は当然。他の六機に関する情報も詳細に捉えている。
「…………」
その中で、男の視線は左側に配置された硝子板に視線を固定していた。
辺国領主。“二重一位”の異名を持つその男、ギイ・グロヴレが意識を向けているのは、パロットラの左方、かなりの距離を置いて浮かぶ黄金色の機体。些国機馬サンダーバードについての情報だ。
ギイの左手が動いた。操作に従い、サンダーバードの各種情報が時間経過によってどう変化していったのかが表示される。その一見だけで、ギイはサンダーバードの思惑を正しく予想。その対処の為に、僅かに機体を動かした。
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