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「一緒に帰ろ!愛美」
「嫌」
「俺、可愛い可愛い愛美ちゃんのために待ってたんですけどー?」
「待っててなんて頼んでない」
冷たく突き放すと
海内くんは寂しそうな目をした。
私はこの目が嫌いだ。
何を求められても
返せるものは何もない。
「愛美はツレねーなー。可愛いのにもったいねぇよ」
可愛い とか 可愛くない とか
好き とか 嫌い とか
世の中には意味のない事ばっかりだ。
「可愛いって誰にでも言ってるんでしょ?海内くんは」
海内くんは
たぶんチャラい。
っていうか絶対チャラい。
服装とか。言動とか。
「私、帰る」
そう言って
滝の雨の中を駆け出した。
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