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「おい!愛美!」
そう言いながら
海内くんが駆け出してくる。
残念ながら体育の成績は
オール2という私が
足の速さで海内くんに
勝てるはずもなく、
あっという間に追い付かれてしまう。
「愛美、俺の事そんなに嫌い?」
「嫌い?」
「いや、それは俺が聞いてるんだけど…」
「嫌いじゃないよ」
「そっか!良かっ…「でも好きでもない」
我ながら可愛くない事を言うなと思う。
でもこれぐらい突き放せば
もうまとわりついてこないだろうし、
ちょうどいいや。
「…でも、嫌いじゃないんだよね?」
あれ…。
私が思ってた反応とは
全く違う反応が返ってきた。
「……」
「俺、愛美に嫌われてると思ってたから良かった!んじゃあ、俺もう帰るわ。愛美、この傘使いな!」
そう言って差し出した傘は
うすいブルーの折り畳み傘だった。
海内くんはわたしに傘を差し出すと走り去ってしまい、
私はそこに置いてきぼりになった。
っていうか、
傘持ってたの!?
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