〈始まりの扉〉

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「母さん、今日も学校行ってくるよ」 朝起きていつもの準備をし、いつも言っていることを言って、玄関から出て行く。 「今日も時間が余ってるな…」 こう呟くと、足を止めて昨日の事をまた思い出した。 「今日は寄り道しないで、学校に行こうかな……」 止めていた足をまた動かし、学校に向かう。 いま学校が終わり、朝来た道を戻る。 「学校、結構辛くなってきたな……」 ここ二日ぐらい、クラスメイトが俺の悪口を言っているのが、聞こえる。 前から、俺の悪口を言っている時があったのは、知っている。 だがそれは、俺の聞こえ無い所での話だ。 今回は、確実に俺が聞こえる様に言っていると思う。 流石に俺も、耐えられなくなって来ている。 そこで思い付いた。 もう一度丘の上の公園に行けば、謎の声の主が俺を、この世界とは別の世界、扉の先とやらに連れて行ってくれるんじゃないかと。 俺は走り出す。 丘の上の公園に向かって。
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