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―懐かしい、夢を見た。
あれから月日が経ち、今日は中学の入学式。
母は健在だ。
寧ろピンピンしている。
あんな夢を見たのは死んだからじゃない。
原因は私の“名前”だ。
私は一人っ子だ。
そうなると当然両親からの子供への愛情は必然的に私だけに与えられる。
しかも両親も共にあの時代では珍しい一人っ子。
と言うことは私の祖父母達にとっては私は唯一の孫だ。
親族からの愛を受けすぎたと言っても過言ではない。
おもちゃなどは勿論、あらゆる物まで買ってくれた両親と祖父母達。
お陰で私は好きなものしか食べなかった。
私も子供なので野菜が嫌いだった。
反対に好きなものは炭水化物と言う、肥満への出来レースだった。
そうなると太っていくのは当然だ。
いつの日か小学四年生で78㎏になってしまった。
自分が太っていると言う自覚はあったが、「別に死ぬわけじゃないしいーやー」と諦めていたので別に気にしてはいなかった。
ところが、ある日階段を登っていたら膝に激痛を感じた。
病院にいくとどうやら膝に水が溜まっていたらしい。
そして医者には『少し痩せた方がいいでしょうね。このまま太り続けると命の危険性もありますから。』と言われてしまった。
正直ショックだった。
体だけは丈夫だと思ってたのに、と。
そして私はその時に痩せる決心をしたのである。
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